その3: メール対応の基本(3)

 
トラブル事例に学ぶ顧客対応講座

その3: メール対応の基本(3)

 虚偽説明はかえってトラブルを長引かせることに・・

 (事例)

 インターネットショップで、他の店よりも安い価格で目当ての時計を売っているのを見て、購入申し込みをしました。そのとき、定価表示が安く間違っていたようなので、これが安値の理由かもしれないと思ったが、それ以外の理由で安くなっているかもしれないので、一応ショップ側からキャンセルされることも覚悟の上で注文しました。
 同日、注文確認および在庫確認を終えたことのメールが届きました。

 翌日、商品発送のメールが届きました。その後、ショップからからお詫びのメールが届きました。
 以下引用です。

「お世話になります。この度はご利用いただきありがとうございました。
誠に申し訳ございませんが、本日出荷のご連絡を致しました商品につきまして、出荷後、誤って違う商品を出荷したことが発覚し、商品輸送をストップさせていただきました。

この度ご注文いただきました【ソーラ電波時計】ですが、こちらは私どもですでに完売してしまい、その後違う商品が誤って【ソーラ電波時計】として入荷し、お取扱いとなっておりました。
また、どちらの仕入先からも入荷がなくお客様にはご期待いただきましたにもかかわらず、ご希望の商品をご用意できない結果となってしまいました。誠に申し訳ございません。つきましては、残念ながら、この度のご注文をキャンセルとさせて頂くこととなります。大変ご迷惑をおかけしてしまいましたこと、深くお詫び申し上げます。」

−−−−−引用ここまで

 さらに翌日、サイトを確認すると、なぜか入荷がないはずの商品が再入荷されています。価格は、定価に対して(他店と比べて)妥当な価格に訂正されています。

 価格表示ミスを商品誤入荷という虚偽の説明でごまかされたものと思われます。
 はじめに価格表示ミスでしたと言われれば素直に受け入れたのですが、虚偽の説明を行ったことへの誠意ある謝罪を求めたいと思います。当初の価格で販売せよということではありません。

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 価格の表示ミスによる、店側からの注文キャンセルに伴うトラブルですが、このケースでは、相談者は最初から価格が表示ミスである可能性があることは、うすうす気がついています。ある意味、表記ミスだとしてショップ側からキャンセルされることも予想して、もし買えたらラッキーと言ったところでしょうか。
 従いまして、取引に関しては、このショップは錯誤による契約の無効を主張して、注文のキャンセルをすることができる可能性が高いと思われます。

 このような価格の誤表記に関わるトラブルは本当にたくさんの事例を見てきましたが、そのときのショップからのキャンセル通知のとき、中にはこのケースのように、表記ミスであることを隠し、誤入荷や在庫切れを主な理由にキャンセルとするものもあります。
 ショップ側が、実はこういったケースにおいて錯誤無効の主張が可能であることを知らず、契約が成立している以上、何とかショップ側からキャンセルするために、とっさに虚偽の説明をして、その場をやり過ごそうと考えるのかもしれません。
 しかし、なぜか注文者たちには必ずバレて、かえって攻撃の対象にされることもあります。

 このケースでは、ショップ側では、まるで何事のなかったかのように、サイト上の価格表記だけを正しい価格に戻し、販売を続けてしまうため、虚偽の説明をしたことを注文者に見破られてしまいました。
 そのほか、表記ミスによるキャンセルが大量に発生していても、サイトの表面上は、まるで何事のなかったかのように普通に営業をしているショップに対し、許せない、謝罪文とサイト上に掲載すべき、と主張をする相談者もいます。

 ショップの内々に済ませようとする姿勢が見えれば見えるほど、消費者に不信感を抱かせます。当たり前のことを言うようかもしれませんが、ミスがあれば、なるべく早急に、正直に本当のことを説明して謝罪と再発防止に努める姿勢を見せることが、何より早期信用回復につながります。
 とっさに、バレないだろう、隠し通せるだろうを考えてしまう気持ちも分かりますが、このような嘘をつくと、かえって注文者たちも躍起になります。実際、メーカーや卸売業者に問い合わせするなどして、その商品の流通経路や、現在、市場に品薄状態なのかどうか、他店で注文したときにどのぐらいでメーカー等から入手できるものなのかを、全て調べ上げて責めてきたケースもあります。
 いずれにしても、ミスがあったら正直に話した方が、後々面倒なことにならず、早く終わります。