(事例)
ネット上で、スーツケース・小(定価18,000円⇒特別価格8,190円)を注文して自動配信のメールが届いたため、すぐに代金を振込みました。
お店から注文確認メール到着、次の日の午前中に届けてもらうように指定していたため、配送業者が来ていましたが、不在のため受け取れませんでした。
2日後、改めて配送業者を通じて商品を受け取り、すぐに商品を確認したところ、注文した商品ではありませんでした。お店に電話したが営業終了後であったため繋がらず、商品の写真と注文確認メールを添付の上、メールを送信しました。その際、実は明日の晩から旅行に行くために、このスーツケースを使用したかったという旨を記載しました。
その旅行に行く日の午前中、担当者から電話があり、発送ミスがあったことは認められましたが、「今から正しい商品を発送しても間に合わないので、代金は負担しますから自分で購入してください」と言われました。
その際、「おたくの商品は8,000円だけど普通1万円以上はするだろう。ちなみに上限はいくらまでなのか?」と確認したところ、「上限は特に考えていない。お任せします」と返答されました。しばらく後にお店からその旨が記載されたメールを受信したため、夕方、デパートで同サイズのスーツケースを29,400円で購入しました。
旅行から帰り、お店に領収書を発送したところ、お店の責任者(以前の担当者とは別)から電話がありました。しかし、責任者の主張は以下の通りでした。
1.金額はお任せしますと案内したが、スーツケースが高すぎる。デパートでもっと安い商品があったはずだ。
2.商品を受け取る予定の日に私の都合(不在)で受け取れなかったのは私に非がある。
3.お店から配送業者への発注は間違っていなかった。間違えたのは配送業者である。
そこで、お店にも私にも非があるという理由から、痛み分けで半々の負担にしますと告げられました。しかし、以前に金額はお任せしますと言われたこと、同じようなスーツケースはデパートで売っている一般的な商品であることから納得できないと伝えても、私が納得するかは関係なく、それで決まったと言われ、一旦電話を切りました。
その後、やはり納得できないため、以前の担当者と電話で話したのですが、確かに金額はお任せすると言ったが、それは常識の範囲内のことであって、まさか29,000円もするものを買われるとは思っていなかったと言われました。でもわたしは常識内を思っていました。
私は主張しすぎなのでしょうか?
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このケースでは、そもそも相談者の購入の目的であった旅行の時間が迫っていることを知った店の担当者が、別店舗別商品の購入について「上限は特に考えていない。お任せします」と答えてしまったため、相談者は店での購入額のほぼ3倍価格の商品をデパートから購入し店側に代金を請求したところ、店側から拒否されたために発生したトラブルです。
店側は、「お任せします」と答えたときに、商品販売価格からおよそかけ離れた価格の代替商品を注文者が買ってくるとは想像もできなかったのかもしれませんが、実は同様のトラブルは良く発生します。
テレビを製造しているメーカーが、保証期間内に持ち込まれたテレビの故障の調査に時間がかかるため、メーカーがそのテレビを引き取ることになり、強気に出たユーザに対しメーカー側担当者が、つい「代わりの別の商品を、購入時の店で買って良いです」と答えてしまったために、それを聞いたユーザが、元の商品より高性能で上位機種のテレビを注文しようとして止められたというケースがあります。
このようなトラブルを発生させないためには、単純なことですが、このようなケースを想定し、予め対応できる範囲をマニュアルとして決めておくということかと思います。事業者は担当者レベルで言っていたつもりでも、消費者側にとっては、それが事業者としての回答となるのです。
また、電話口で消費者から急かされたとしても、その場ではすぐに回答せず、「検討後すぐに折り返して回答する」といって一旦電話を切り、他のだれか、若しくは責任者と相談してからから回答することが重要か思います。
このケースであれば、店側の双方折半という提案は、妥当な線と見受けられます。