その5: 電話対応(2)

 
トラブル事例に学ぶ顧客対応講座

その5: 電話対応(2)

 質問の趣旨を把握する

 (事例)

 このショップでは、支払額に対しポイント還元システムを設けていて、獲得したポイントは次回の買い物の時に1ポイント=1円として値引きをするシステムとなっています。

 そこで、このショップからネット上よりカメラの申し込みを行おうとした際、商品説明では「5520ポイントの還元」と謳っているにもかかわらず、注文確認画面では「3183ポイント」と表示されていました。
そこで疑問に思いショップに電話で問い合わせをすると、受付担当者から「5520ポイントが正しく、後で訂正しますので、そのまま注文を入れてください」との案内をいただきました。

 そこで、そのまま注文を入れたところ、後から、ポイント還元は“支払った現金”に対してのみ行われると知りました。私は今回の買い物で前回獲得したポイントを使用しており、その分が差し引かれて「3183ポイント」しか還元されないとのことです。
 しかし、ポイントは現金同様に使えるため、購入意思決定に多大な影響を与えるものです。それを後になって「返事を間違えてました」だけでは納得できません。受付担当者の上司と電話で話しましたが、「注文確認のメールが届いているはずで、それに則って取引をしており、ポイントの訂正はできない」とのことです。

 私は確認の電話を入れて、「後で訂正するから」ということを信じて注文を行っており、確認メールよりも直接電話で話した内容を信じるのは当然です。上記の状況は上司の方も認めていて、私に非がないことも認めていただきましたが、ショップとして謝罪はするが、ポイントの訂正はしないとのことです。

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 このケースでは、当時、ショップサイトのポイントに関する記載内容を確認すると、以下のような記載がありました。

・ポイントの加算分に関して
【ポイントを使用してお支払いいただいた金額に対しては、ポイントは還元されません】

 従って、相談者が注文した商品の広告ページには、確かに「ポイント:5,520」と表記されていましたが、それは全額現金若しくはクレジットカードにて支払うケースが想定されていて、支払いの際、以前還元されたポイントを利用する場合は、その分にはポイントは還元されないものと考えられました。
 そのため、今回ショップ側のポイント付与に関して言えば、特に何も間違ってはいません。

 ただ、このときの問題は、それら記載に気付かず、本来より少なく付与されていたポイントに関する相談者からの電話による問合せに対し、ショップ側の受付担当者が、「5520ポイントが正しく、後で訂正しますので、そのまま注文を入れてください」と伝えたことによって、相談者が自分の注文には、後からきちんと5520ポイントが付くものと勘違いをしてしまったという部分です。

 その際の相談者と受付担当者とのやり取りの詳細がわかりませんでしたが、双方の間に、そのポイント還元で発生している問題点に対し、認識の違いが生じていた可能性があります。相談者の質問の趣旨を、受付担当者は把握していなかったわけです。
 もちろん、当時、電話口で相談者がどのような言い方で問合せをしていたのかにもよりますが、少なくともショップ側が相談者の質問を的確に把握していないと、このように後から言質をとられトラブルを招きます。

 そこで、電話による消費者の問合せや質問に関しては、先ずは、どうしてそのような問合せや質問をするに至ったのか、簡単でも良いので、その経緯から聞いておくようにすると、消費者からの質問の趣旨が分かり、このようなトラブルを避けることが可能と思われます。
 また、消費者からの問い合わせ内容がはっきり分からないようであれば、曖昧なまま答えないで、「○○が××であるかどうかという質問でよろしいですか」と確認し、最後に復唱すると双方でやり取りが確認できます。